UNIXの誕生から約25年の間に起こった出来事を「本当の歴史を編纂しよう」という言葉のもとに執筆し出版された書籍。原著は1994年に出版され、翻訳版は2000年に刊行。
UNIXの誕生よりも遡って計算機とコンピューティング、オペレーティングシステムの歴史に始まり、UNIXの祖先ともいえるMulticsの失敗談、その経験を踏まえて作られた最初のUNIXの開発にまつわる話、さらにその後のバージョンアップとその過程におけるさまざまなツールの開発に関する話が、豊富な登場人物や数々のエピソードとともに綴られている。
後半ではバークレーなどによるUNIXへの貢献、商用UNIXの誕生と市場の形成、そして1980年代から1990年代にかけて発生したいくつかの対立構造などにも触れられている。
原著が1994年発行ということもあり、現在よく使われているLinuxやFreeBSDなどのUNIX系OSについては、その誕生前夜ぐらいまでしか記述されていない。しかし、現在よく使われているOSがどのような経緯で生まれてきたかを知る上で貴重な歴史の教科書といえる。随所で語られるUNIX的な物作りの考え方を知ることで、UNIX上でのシステム開発の勘どころを知ることができる。