UNIXの出自から、その根底に流れる思想や哲学、さらにはUNIXらしさといったものを解説するとともに、刊行当時の最新情報や今後の展望を綴った書籍。
1980年代後半の書籍であるため記載されている情報源の多くは現在では無効になっているが、当時の事情を物語る資料として貴重なものといえる。この本が価値を持つ大きなポイントは2つある。ひとつは、技術書やマニュアルには書かれないであろうUNIXの思想的な部分を存分に伝えている点、そしてもうひとつは、それを伝えるべく随所に散りばめられたUNIXらしさあふれる文章そのものである。
本書はUNIXの面白さや楽しさをユーモア満載で伝えており、またそれがUNIXを深く理解している翻訳陣の手によって絶妙の日本語に訳されている。この精神こそがUNIXの最大の魅力であり、多くの人を惹きつけてきた理由でもあるといえる。
表紙にある「UNIXを愛するすべての人に」という言葉が示すように、UNIXが好きな人はもちろんのこと、UNIXが多くの人に愛される理由を知りたい人にも、ぜひ一度目を通していただきたい書籍。